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なぜ「脱Excel」が注目されるのか?

Excelは、長年にわたりビジネスの現場で広く使われてきました。表計算はもちろん、データ分析やグラフ作成など、便利で高度な機能が多く、業務の効率化に役立ってきたのは事実です。
しかし最近では、Excelだけでは対応しきれない課題や非効率な面も出てきており、「脱Excel」の動きが注目されています。ここでは、Excelのメリットとデメリットを比べながら、なぜ今「脱Excel」が求められているのかを解説します。
Excelのメリット
Excelのメリット
- 1. 幅広い用途に対応
- 2. 導入のしやすい
- 3. カスタマイズ性
Excelが長年使われてきた理由は、その汎用性・導入のしやすさ・カスタマイズ性にあります。
まず、Excelは簡単なデータ入力から、複雑な関数を用いた高度な分析、見やすいグラフの作成まで、幅広い用途に対応できます。予算管理、請求書作成、売上報告、在庫管理、プロジェクト管理など、業種や職種を問わず、様々な業務に適用できる汎用性の高さは、Excelの大きな魅力です。
また、導入の容易さもExcelのメリットです 。多くの企業でMicrosoft Officeが導入されていて、追加のコストをかけずにExcelを利用できる場合がほとんどです 。直感的に使うことができ、特別なトレーニングも不要です。
さらに、数式や関数、ピボットテーブル、マクロやVBAを使えば、業務に合わせた細かいカスタマイズや自動化も可能です。
Excelのデメリット
Excelのデメリット
- 1. データの処理能力の限界
- 2. 属人化のリスク
- 3. セキュリティ面の不安
Excelには大量データの処理能力の限界、属人化のリスク、セキュリティ面の不安といった課題があります。
Excelには、行数と列数に上限があり、特に大規模なデータを扱うと動作が重くなったり、ファイルが破損したりするリスクも高まります。
また、複雑なシートは作成担当者にしか理解できない状態になりやすく、その担当者が不在になったり、退職したりすると、業務が滞ってしまう可能性があります。
さらに、セキュリティ上の課題も懸念されています。誰がいつファイルにアクセスし、どのような変更を加えたのかを追跡することも困難ですし、マクロが悪用され、マルウェアに感染するリスクも指摘されています。
時代の変化と脱Excelの必要性
現代のビジネス環境は、急速に変化しており、その変化に対応するためにも、従来のExcel中心の業務プロセスを見直す必要性が高まっています。
そのひとつとして、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が挙げられるでしょう。DXとは、デジタル技術を活用して、ビジネスモデルや業務プロセス、組織文化などを変革し、企業の競争力を高める取り組みです。Excelは、確かにデジタルツールのひとつですが、その多くは手作業によるデータ入力や管理に依存しており、リアルタイムでの情報連携や自動化には限界があります。
また、働き方改革の推進も、「脱Excel」の必要性を高める要因となっています。Excelは、その特性上、複数人での同時編集やリアルタイムでの情報共有が苦手であり、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実現するには多くの課題があります。