ピーク業務の可視化で現状を把握したら、次は管理職が主導して改善を進める段階です。現場との合意形成を図りながら、以下の3つのステップで取り組みます。
ステップ1:経理業務の棚卸しと可視化
月末月初を含む2~4週間の期間を設け、主要業務の処理件数、所要時間、待ち時間を記録します。ツールはExcelでも構いませんが、属人化や記録漏れを防ぐために入力フォーマットは部門内で統一してください。
数字の集計と並行して、現場担当者へのヒアリングも欠かせません。入力作業そのものが重いのか、それとも承認者からの返答が来ない待ち時間が問題なのかを切り分けることで、数字だけでは見えにくい隠れた負荷を把握できます。現場の声を拾いながら進めることが、その後の改善施策への納得感につながります。
ステップ2:改善優先度の決定
可視化データが揃ったら、改善施策の優先順位を決めます。削減できる時間などの効果と、コストや他部署の巻き込みを含む実現難易度の2軸でマトリクスを作成し、着手すべき領域を絞り込みます。
前工程の遅れが経理残業の主因である場合、稟議や支払承認、経費精算といった領域は効果が大きく、適切なシステムを選べば比較的取り組みやすい優先候補として挙げられます。この段階で増員・BPO・ツール導入のいずれが適切かという判断軸も整理しておくと、経営層への提案をデータに基づいて行えるようになります。
【改善優先度マトリクス(例)】

経理領域で使えるツールの整理は、経理の業務効率化に有効なツール・システムの活用術も参考になります。
ステップ3:稟議・承認の電子化から着手する
可視化と優先順位付けをおこなった結果、最初の施策として稟議・支払承認の電子化が選ばれやすい理由は明確です。承認待ちと督促作業は、システムへの投資対効果が大きく、かつ経理部門が主導して着手できる領域だからです。増員やBPOと異なり、承認フローの電子化は比較的短期間で運用を開始でき、効果も月次サイクルの中で早期に確認できます。
ただし、全社のあらゆる申請を一度に電子化しようとすると要件が膨らみ、プロジェクトが頓挫するリスクがあります。まずは経理部門への影響が最も大きい支払依頼など1種類の申請に絞ったパイロット導入から始めるのが現実的です。
承認ルートを標準化し、進捗を可視化するだけでも、月末に積み上がっていた承認待ち案件の滞留は大きく改善されます。
部門をまたぐ承認が複雑な場合は、承認ルートの設計パターンと見える化の考え方もあわせて確認すると、パイロットの範囲を決めやすくなります。
すでに請求書管理をクラウド化している企業であれば、支払承認の電子化はその次のステップとして、バックオフィス横断のデータ連携へとつながります。