経理業務の標準化は、場当たり的に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが大切です。ここでは、仕訳・支払処理・経費精算など具体的な業務を想定し、5つのステップをご紹介します。
ステップ1:現状の業務を洗い出す
まずは、現在行われている経理業務を網羅的にリストアップしましょう。この段階では、業務の良し悪しを評価せず、事実を客観的に書き出すことが重要です。
対象となるのは、経費精算、現金管理、売掛金・買掛金管理、請求書発行、支払処理、決算整理などの日次・月次・年次業務です。
それぞれの業務について、「誰が」「いつ」「何を」「どのような手順で」行っているか、作業にかかる時間(工数)、頻度、使用している帳票などを細かく把握することで、標準化すべき業務や優先順位が見えてきます。
ステップ2:標準化する業務の優先順位をつける
すべての業務を一度に標準化しようとすると、通常業務に追われてプロジェクトが進まなくなる恐れがあります。そのため、洗い出した業務に優先順位をつけることが重要です。
優先すべき業務は、次の通りです。
- 特定の担当者に依存している業務
- 担当者が不在になると止まってしまう業務
- 毎月発生し、件数が多い業務
- ミスが発生した場合の影響範囲が広い業務
- 経費精算・支払・請求など会社のお金に直結する業務
属人化リスクが高く、かつ業務量や影響範囲が大きいものから着手すると、標準化の効果を実感しやすくなります。
ステップ3:業務を最適化する
現状の業務手順をそのままマニュアル化しても、非効率な作業が残ってしまいます。経理業務の標準化を行う前に、不要な工程を見直し、より効率的な流れに整える必要があります。
このときに有効なのが、「ECRS(イクルス)の原則」です。ECRSとは、業務を次の4つの視点で見直し、「Eliminate→Combine→Rearrange→Simplify」の順に改善を検討する手法です。
| ECRSの原則 |
経理業務における見直し例 |
| Eliminate(排除):なくせないか |
形骸化した社内向けの二重チェックや、押印のためだけの出社そのものを廃止する |
| Combine(結合):一緒にできないか |
部署ごとに行っていた請求書回収とデータ入力を、集中処理にまとめる |
| Rearrange(再配置・交換):順序を変えられないか |
各部署の承認後に経理がチェックしていた順序を、経理が一次チェックしてから各部署が承認する順序に変える |
| Simplify(単純化):もっと簡単にできないか |
経費精算の手入力を減らし、候補表示や自動入力機能を活用する |
このように、不要な作業を取り除いてから標準化することで、より実用的な業務フローを構築できます。
ステップ4:マニュアルを作成する
次に、最適化した業務フローに沿って、誰でも迷わず実行できるマニュアルを作成します。マニュアルには、単なる操作手順だけでなく、「なぜその処理を行うのか」「社内でどのような意味を持つのか」といった背景も記載することが望ましいです。目的を理解していれば、例外処理やシステムトラブルが発生した際にも、担当者が判断しやすくなります。
また、文章だけで説明するのではなく、システム画面のキャプチャやチェックリストを活用すると、実務で使いやすいマニュアルになります。
ステップ5:定期的に見直し・改善する
業務マニュアルは、一度作成して終わりではありません。新しいシステムの導入や法改正、組織変更、取引先との契約変更などにより、最適な業務手順は変化します。そのため、定期的にマニュアルの使いやすさを確認し、必要に応じて更新することが大切です。PDCAサイクルを業務に組み込むことで、標準化した業務を継続的に改善できます。