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守りの「採用活動」だけでは解決できない!経理人手不足の真の原因と経営への影響

従来の採用活動は、求職者からの応募を待つ「守り」の姿勢が一般的でした。しかし、昨今の採用難の状況では、経理に限らずこうした姿勢での人材確保は困難です。ここでは、経理における人手不足の原因と、経営に及ぼす影響を解説します。
経理の人手不足の真の原因とは?
経理における人手不足の原因のひとつは、専門性の高さや実務経験のある人材が求められる点です。このほか、企業側にも人材を確保できない原因があるかもしれません。
経理は、バックオフィス業務であるため、営業や製造などに比べると採用活動が後回しにされやすい傾向にあります。加えて、業務の煩雑さや量の多さに疲弊して、せっかく入った新入社員が辞めてしまうことも珍しくありません。企業内での優先順位や従業員の働く環境が、人手不足を招いている可能性もあるのです。
経理の人手不足が経営に及ぼす影響
人手不足は経営に悪影響を及ぼすため、放置せず早めに対処する必要があります。以下では、経理の人手不足が経営に及ぼす影響についてみていきましょう。
採用活動の長期化とミスマッチによるコストの増加
採用活動が長期化すると、人手不足を解消できないだけでなく、採用コストも膨らみます。企業は募集をかけて応募を待つだけではなく、獲得したい人材を採用するためのアクションが必要です。
自社に合った求職者を、採用の段階でしっかりとマッチングすることも重要です。時間と費用をかけて採用・教育した人材が早々に退職してしまうことは避けなければなりません。定着率の低下を食い止めるためには、自社に合った人材を確保することや、働き続けやすい職場環境を作ることが不可欠です。
属人化による業務品質の低下
経理が人手不足になると、業務が特定の人に集中する「属人化」の状態となりやすい傾向にあります。属人化が起こると業務の状態や進捗がブラックボックス化し、透明性が失われます。
こうした客観的な視点のない状況では、ミスに気付きにくく、効率化や業務改善もうまく進みません。経理担当者が不正を働くリスクも増大します。
経営判断の遅延による機会損失・経営悪化
経理部門がうまく機能しなければ、経営層はリアルタイムの経営状況を把握できません。その結果、経営判断の遅延やビジネスチャンスの喪失につながる恐れがあります。
例えば、資金繰りが悪化している状況で、支払いに充てられるキャッシュがないことに気づけば、支払期限の交渉や融資の検討といった対策ができます。しかし、資金繰りの状況を経営陣が把握できない、また、経理担当者自身も資金繰りの悪化に気付けない状況であれば、資金がショートしてしまいかねません。経理部門の機能不全により、経営が傾いてしまう可能性も大いにあるのです。