テレワーク実現のために必要なペーパーレス化やクラウド化には、デジタルツールの活用が欠かせません。ここでは経理部門と相性のよい4種類のツールを紹介します。
・クラウド会計システム・クラウドERP
・RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
・AI-OCR / AI
・コミュニケーション・コラボレーションツール
クラウド会計システム・クラウドERP
オンプレミス型のシステムは社内ネットワークでの運用が前提のため、テレワークには不向きといえるでしょう。
そこでクラウド型へ移行すれば、社外からでも安全にアクセスでき、テレワークとの親和性が高くなります。さらに、ハードウェアやサーバ設置のコスト削減と省スペース化にもつながります。
BCP(事業継続計画)の観点でも、クラウド型ならサーバの被災リスクを軽減でき、柔軟な対応をとりやすいでしょう。
また、クラウド会計ソフトやクラウドERPは経費精算や給与計算、顧客管理など、ほかの業務システムと連携しやすい点も大きなメリットです。
データ連携によって各種取引情報や入出金明細などを自動で取り込み、仕訳や帳票作成の手間を大幅に軽減できます。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
RPAとは、PC上の定型業務をソフトウエアロボットにより自動化する技術です。人間の手で行っていたデータ入力や転記、照合作業などを、あらかじめ記録した操作手順に基づいて自動で実行します。
経理部門との相性がよく、日次・週次・月次で繰り返される入力作業や、数値の確認、複数システム間の連携作業に活用されています。実用例としては入金消し込みや、帳票の出力・クラウド保管の自動化などが代表的です。各種作業の自動化により、ヒューマンエラーの低減、処理のスピード・精度を向上できるでしょう。
RPAによって定型業務の負担が軽くなり、経理担当者が戦略企画やマネジメントなどの非定型業務に割ける時間を増やせます。
AI-OCR / AI
OCRとは、紙の書類やPDFから文字を読み取り、テキストデータとして変換する技術です。近年はAI技術の発展によってOCRの精度が大きく向上しています。
例えば、紙の証憑をAI-OCRで読み取り、読み取った内容をRPAで会計システムに自動入力するといった形で活用できます。紙の帳票が多く残る企業にとって、デジタル化への大きな一歩となるでしょう。
また、クラウド会計ソフトなどでは、AIによる勘定科目の自動判定や、金額ミス・重複入力の検知、将来の資金繰り予測といった機能も提供されています。
AIツールの活用で、さらなる業務効率化・標準化を図れますが、AIの出力は100%正確とはいえません。最終的な確認や判断は人の目で行う必要があります。
コミュニケーション・コラボレーションツール
先述のとおり、テレワーク化においてチャットツールやWeb会議システムは不可欠です。
ビジネスチャットツールにはSlackやMicrosoft Teamsなどがあり、テキストでの会話だけでなく各種ファイル共有も簡単に行えます。
Web会議システムはZoomやGoogle Meetが代表的で、録画機能を使えば打ち合わせに欠席した従業員にもアーカイブ動画を残して後から視聴してもらえます。
これらのコミュニケーションツールは、テレワークでのやりとりを支える重要なインフラといえるでしょう。
クラウドサービスやAIの発展により、経理部門は記帳や集計業務にとどまらず、経営層や他部門への提言などを行う戦略的な部門への様変わりが期待されます。
ツールを使いこなしたうえで、コミュニケーション力や専門知識、戦略的思考を磨いていく必要があります。