DXの目的は、業務改善の先にある、経理部門の在り方の変革です。
しかし、急激な改革はコスト面でも対応負荷の面でも現実的ではありません。ここでは、業務改善の手段を4つ紹介します。取り組めそうなところから小さく始めていきましょう。
1. 業務プロセスの可視化・最適化
経理業務を改善する第一歩は、現状の業務フローの可視化と最適化です。
まず、日常業務をタスク単位で棚卸しして、問題のある部分を特定します。
改善策の立案には、「ECRS(イクルス)の原則」が役立ちます。ECRSとは業務改善のフレームワークであり、以下の4要素からなります。
1. 取り除く(Eliminate)
2. まとめる(Combine)
3. 並べ替える(Rearrange)
4. 単純化する(Simplify)
一般的に1~4の順で解決策を探っていくと効果が高いとされており、経理部門における具体例は以下のとおりです。
取り除く | 形式的な会議・報告・資料作成 をやめる など |
まとめる | 類似業務を1人の担当者に集約する
個別の資料配布をやめてメールで一括送信する など |
並べ替える | タスクの順番や担当者を変更する
席替えや設備の配置転換を行う など |
単純化する | 会計ソフトを導入し、仕訳作業を簡素化する
RPAを導入し、定型作業を自動化する など |
2. ペーパーレス・キャッシュレス化
ペーパーレス化とキャッシュレス化は、紙の取り扱いや手作業による非効率の改善に大きく寄与します。
ペーパーレス化で取り組みやすい例としては、会議資料のPDF化や、ネットバンキングの活用、e-Taxでの電子申告などです。
また、クレジットカードや電子マネーの利用は現金の取り扱いが減るだけでなく取引履歴がデータに残るため、会計処理の円滑化につながります。
3. デジタルツールの活用
経理業務の効率化を図るうえで、デジタルツールの導入は欠かせません。ペーパーレス化や効率化、属人化の解消など大きな効果を期待できる手段です。
ここでは、導入のハードルが比較的低いものから順に、代表的なツールを紹介します。
クラウド会計システム
クラウド会計システムとは、インターネット上のサーバーで会計処理を行えるツールです。
銀行口座の入出金データの自動取り込みによる仕訳の起票や、過去の取引を学習して自動仕訳する機能が備わっており、手作業の負担を大幅に減らせます。また帳票・帳簿の作成、決算書作成、売掛・買掛の管理、予実管理などにも対応でき、日々の業務を大幅に効率化できるでしょう。
会計システムを導入するだけで、ペーパーレス化や効率化、経営状況の即時把握の大きな後押しとなります。
ERP
ERPとは、企業内の多様な情報の一元管理を実現するシステムです。
ERPを利用すれば、商品の販売に伴う在庫の減少、売上の計上から請求書の発行といった情報まで、部門ごとでなく一括で管理できます。
会計ソフトなど外部システムと連携できるERPも多く、多角的なデータ分析や部門間にまたがる業務効率化を図れます。現在利用中のシステムとの兼ね合いも考慮して検討するとよいでしょう。
RPA
RPAとは、人の手で行っていた単純なPC作業をロボットが代替してくれるツールです。経理業務では、証憑の取り込みや帳票の作成、決算データの収集、メール送付などの定型的な作業を自動化できます。
人間の意思決定を必要としない反復作業をRPAに任せられれば、担当者は付加価値のより高い業務に時間を使えるようになるでしょう。
AI-OCR
AI-OCRは、紙の書類を読み取って文字の部分をデジタルデータ化するOCR技術にAIを組み合わせて、精度を高くしたものです。
具体的には、請求書や領収書をスキャンすれば、書類に記載されている文字列をExcelやWordなどで扱える形に変換してくれます。RPAなどのツールと連携すれば、書類の読み取りからシステムへのデータ入力や仕訳まで自動化できます。
紙の伝票が多い企業では特に効率化を期待できるため、優先的に導入するとよいでしょう。
4. アウトソーシングの活用
経理代行会社や税理士などに経理業務を委託する方法もあります。
代行を依頼できる業務の例は以下のとおりです。
・記帳
・給与計算
・年末調整
・決算・申告 など
但し、税務書類の作成や申告の代行は、国家資格を持つ税理士にしか依頼できない点には注意が必要です。
アウトソーシングでは、一業務のみの委託も可能なため、予算に応じて依頼する業務の範囲を検討しましょう。