01
AIに代替される経理の仕事
まずは、AIに代替でき、効率化できる仕事をみていきましょう。
以下の業務をAIに任せることで、経理担当者は、より重要性の高い業務に集中できるようになります。
入力や計算などの定型業務
データ入力や仕訳入力、伝票の処理といった定型業務は、AIの得意分野です。
AIによって書類に記載された文字を読み取るAI-OCRを使うことで、紙の伝票のデータを迅速にデータ化し処理することができます。
同時に不正検知システムなども活用することで、読み取ったデータのミスや不正までを検知することが可能です。
AI-OCRの活用は、請求書や発注書のデータ化を実現しますが、同時にペーパーレス化にも役立っています。
こうした定型業務へのAIの活用は、現時点で実用化されはじめていますし、今後も広く普及していくでしょう。
過去のデータを分析する業務
AIを活用することで、過去の膨大なデータをもとにした分析が可能です。
過去データを整理・集計するだけでなく、機械学習を行うことが可能なため、AIが学習を重ねることで、より精度の高い分析やデータチェックができるようになります。
例えば、監査を支援する会計システムでは、あらかじめ設定された監査ルールと独自のルール設定により、科目・仕訳を検知してエラーチェックを行い、監査結果を帳票として出力することができます。
加えて、実際に使われている勘定科目との関連性を辞書化した学習データを生成するなど、機械学習を行い、監査の精度を高めていくことも可能になります。
また、生成AIを活用して分析を行うこともできます。
生成AIとは、データから学習したパターンや関係性をもとに、文章、画像、動画などのコンテンツを新たに生成できるもので、現在、ChatGPTやGeminiが脚光を浴びています。
予算と実績の差異分析を行う場合には、月次のP/Lの予実比較データと過去売上推移、さらに、現在の営業部門や状況や課題などの情報を関連付けて生成AIで分析することで、予算が未達になった背景や理由を導き出すことができます。
同時に、社内で気づきにくい課題なども抽出できることもあります。
定量・定性データに基づく分析業務
多くの情報を学習し分析するAIでは、数値データだけで判断するのではなく、数値データ以外のあらゆる定量・定性データを活用して分析を行い、精度の高い結果を提供することができます。
例えば、AIを用いて取引先の与信審査を行うサービスが登場しています。
搭載されているAIが、法人や経営陣の特性、SNSでの情報、公開されている記事情報、業界のトレンドなどの定性データを財務関連データと紐づけて、精度の高い審査結果の提供を可能にしています。
また、取引データが増えることで共通する特徴データが蓄積され、審査モデルが常にアップデートし続けるため、データが蓄積されればされるほど、精度のさらなる向上が期待できます。