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AI財務分析で解決が期待できる3つの経営課題
「そもそもAIを活用した財務分析って何?」と思っている方もいるのではないでしょうか。
以下では、AI財務分析の導入によってどのようなことができるのか、中小企業によくある課題を3つ挙げて紹介します。
【可能性1】資金繰り予測の精度向上と資金不足の早期発見
AIを活用した財務分析を導入することで、より精度の高い資金繰り予測が可能となり、資金不足の兆候を捉えて、未然に対応できるようになるでしょう。従来の状況
従来の資金繰りでは、資金繰り表の作成を手作業で行う必要がありました。
担当者は、作成した会計データを参照して、資金繰り表に転記しなければならず、タイプミスによる転記の誤りが発生しやすい側面があります。
資金繰りの予測は、勘や感覚に頼ったり、ざっくりとしたものになったりせざるを得ず、毎回精度の高い予測をすることに難しさがありました。
そのため、資金不足の兆候の発見が遅れ、急いで対応が必要となる場合がある点も課題です。
加えて、資金繰り管理は、通常業務と並行して行う必要があります。
そのため、リアルタイムの経営状況を常に把握して、迅速な財務分析を行うことが難しい点も、課題のひとつです。
想定されるAIの導入・活用例
AIを活用した財務分析を導入することで、資金繰りや経営状況の予測に役立てた企業もすでにあります。
顧客の財務コンサルティングを行う企業Aは、企業へのアンケートからの定性評価情報と決算書のデータから、資金繰り予測の自動化と精度の向上を実現しています。
【可能性2】経営状況の可視化と迅速な意思決定
AIを活用することによって、経営状況を迅速に可視化できます。
リアルタイムに財務状況を把握することで、重要な意思決定をするための即戦力にもなるでしょう。
従来の状況
従来、経営状況を把握するためには、データ収集から分析までを人の手で行う必要がありました。
そのため、可能性1と同様にミスが発生しやすい状況になります。
売上や費用といった数字の増減だけではなく、会社自体の成長率や経営の安全性、生産性、財務リスクの把握といった様々な経営指標を把握するには、担当者の専門知識が必要であることも課題のひとつです。
想定されるAIの導入・活用例
AIの統計アルゴリズム、機械学習によって様々な財務データから将来の財務予測を行い、将来のキャッシュフローを予測できます。
財務担当者が膨大なデータに基づき分析を行うには、時間がかかることに加えミスが発生する可能性がありますが、AIによる分析と予測で、余剰資金があれば投資することもでき、リアルタイムに運転資金を最適化することが可能です。
また、AIの活用により、財務データに含まれている減損、債務超過、不正などの兆候を見つけ出すことが可能です。
【可能性3】経営改善提案の精度向上と施策の実行
データの収集や分析を行った上で、適切な次の一手を模索することにも、AIを活用することで可能になります。
従来の状況
財務諸表の数字から経営指標の数値は導き出せても、どのように捉えて行動に移せばよいか判断に迷うこともあるはずです。
そうした場合、専門的な観点から、外部のコンサルティング会社からのアドバイスを受けるケースが多々ありますが、外部にコンサルティングを依頼する場合、その費用は決して安くありません。
また、コンサルタントごとに知識や経験に違いがあり、アドバイスの内容が違うケースもあります。
想定されるAI導入・活用例
金融庁では、2022年度に「AIやICT技術を活用した経営改善支援の効率化に向けた調査・研究」を外部に委託し、地域金融機関が多数ある取引先の中から経営改善支援の必要性が高いと考えられる先を特定する汎用的なAIモデルを構築しました。
最先端の生成AI(OpenAI GPT-4)を活用して、全上場企業の公開されている財務データをもとに、経営改善の推論結果を適切に説明したり、有価証券報告書のデータにより個社の経営状態を踏まえた経営改善の説明をしたりすることが、可能であることを確認しています。