DXの目的は単なる業務効率化ではなく、事業や企業の変化・成長です。とはいえ、業務効率化は、DXにおいて現場の理解や協力を得るために効果的です。DXによる業務効率化の進め方を5つのステップで紹介します。
業務効率化の進め方のステップ
- 1. チーム組成
- 2. 現状分析
- 3. 目標設定
- 4. 段階的導入
- 5. 効果測定・改善
ステップ1:チーム組成
DXは長期的なプロジェクトです。できれば経営層に近い位置づけで、少数精鋭のDX推進チームを立ち上げましょう。メンバーは自社の事業の全体像を把握していて、経営者や各部門とコミュニケーションがとれる社員が適切です。そのほか、経営やマーケティングの知識を持った人物も欠かせません。
このチームは、自社のDXにおいて最初期の戦略立案から実行、効果の測定、改善まで一貫して関わり、経営層と現場社員の橋渡しをしながら全体を統括する役割を担います。
ステップ2:現状分析
現在の業務プロセスを棚卸しして、どこに改善の余地があるかを見つけていきましょう。業務で発生するタスクリストや業務フロー図の作成により、各作業にかかる時間や各社員の負担を可視化でき、改善の手がかりを得やすくなります。
また、社員アンケートやヒアリングを通じて、業務に対する不満や効率化の要望を尋ねてみてもよいでしょう。
アナログ作業で時間や負担が多くかかるタスクや、複数人が同時に担当する業務で不満があれば優先的に改善の余地があると判断できます。
課題が明らかになると的はずれなDXになりづらく、成果を得やすくなります。
ステップ3:目標設定
ステップ2で洗い出した課題をもとに、具体的な目標を設定します。例えば、顧客データがうまく整理されておらず管理や運用に時間がかかっているなら、顧客データの一元管理を通じて顧客対応のスピードや営業活動の質を高めるなどがあげられます。あるいは、在庫をリアルタイムで管理できる仕組みを構築し、過剰在庫や品切れを防ぐといった目標も考えられるでしょう。
具体的な目標を立てると、デジタル化すべき範囲や必要なツールがより明確になります。
ステップ4:段階的導入
本来DXは、全社員が取り組むものですが、初期段階においては小さな施策から始めましょう。予算や人材が限られたなかでも比較的取り組みやすく、なおかつ導入効果を期待できるものから少しずつ進めていきます。現場の社員にとっては、業務プロセスの変更に対応する負担が小さく、ツールの使い勝手や導入効果についてフィードバックしやすくなります。実際のフィードバックを参考にしながら、自社に合ったツールや業務プロセスを見極め、改善を重ねていきましょう。
初期段階で小さくても成功体験を得られると、社員のモチベーション向上にもつながります。
ステップ5:効果測定・改善
DXは、取り組みの効果の測定・分析とさらなる改善の繰り返しです。KPI(重要業績評価指標)を設定し、定期的に進捗をチェックしましょう。また、ただKPIの数値を追いかけるだけでなく、社員の満足感や取り組みによる新たな問題点などを確認します。
DXは、何もかものデジタル化を目指すものではありません。テクノロジーをうまく活用しながら、アナログのよいところを残す判断も大切です。
例えば、業務の管理には全般的にツールを使うが、イレギュラーな数字が多く発生するタスクでの重要な数値予測に関しては引き続き人間が行うなどです。
変えるものと変えないものを適切に見極めていきましょう。