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ペポルインボイスの仕組みとメリット・デメリット
では、ペポルインボイスの仕組み、メリット、課題をみていきましょう。
ペポルインボイスの仕組み
ペポルインボイスは、「Peppol(ペポル)」のアクセスポイント(図中C2・C3)を経由して送受信される仕組みです。
アクセスポイントは、ネットワーク上において郵便局の役割を果たし、売り手側は自らのアクセスポイント(C2)を通じて買い手側のアクセスポイント(C3)に電子インボイスを送信します。
その際、郵便物であれば住所が必要ですが、ペポルインボイスではペポルIDでやり取りを行います。
ペポルインボイスを導入するメリット
中小企業がペポルインボイスを導入するメリットは主に3点です。
ペポルインボイスのメリット
- 人的ミスの削減
- データ保存容量の削減
- 海外取引の効率化
第一に、ペポルインボイスは、送信時に、ペポルネットワークでインボイスの記載事項が網羅されているかどうかの整合性チェックが行われ、インボイスの記載事項を満たしたものしか送信されない仕組みになっています。
そのため、記載内容の抜け漏れが発生せず、ペポルインボイスの受信側は、インボイス受信後、正確な仕訳作業をスピーディに行うことができます。この点が、PDFなどでのやり取りと比較して、決定的な違いです。
また、ペポルインボイスは、コンピュータ処理に特化したXML形式のデータでやり取りされます。
XML形式は、PDFやJPEGよりも圧倒的に小さな容量で電子インボイスを保存できます。
さらに、ペポルは電子インボイスを送受信する国際標準規格のため、海外取引でも国内と同様の電子インボイスでやりとりが可能です。
ペポルはヨーロッパを中心に米国や中国など世界30ヵ国以上(出典:デジタルインボイス推進協議会)が採用していて、今後もさらなる拡大が期待されています。
ペポルインボイスの導入における課題
一方、ペポルインボイス導入時の主な課題は下記3点です。
ペポルインボイスの課題
- 導入や運用のコスト
- 運用体制の構築
- 取引先のペポルインボイス導入状況
ペポルインボイスを導入する場合、「Peppol(ペポル)」に対応したシステムが必要になります。
また、ペポルネットワーク上ではデータが保管できない仕様のため、同時に、送受信したデータを保管する仕組みが必要になり、それらの要件を満たすシステムの導入コストがかかります。
コスト面に加えて、業務フローやルールの見直し・変更など運用体制も整えなければいけません。
「Peppol(ペポル)」は請求書のみを対象とし、見積書や領収書は対象外である点にも注意が必要です。
また、ペポルインボイス未対応の取引先とはやり取りができないため、取引先がペポルインボイス対応していない場合は、「Peppol(ペポル)」でのやり取りができません。
システムで送受信・自動処理できる請求書は、ペポルインボイスのみですから、業務効率化のためには取引先のペポルインボイス対応が必要になります。
但し、ペポルインボイスに対応した請求書発行(管理)システムの中には、取引先がペポルに対応したシステムを持たない場合でも、取引先がPDFやWebで閲覧を可能にする機能を備えたものもあります。