決算書類等を電子データで保存することは、メリットとデメリットがあります。
メリットを活用し、デメリットへの対策を行えば、自社に合った方法を選択することができるでしょう。
次に、それぞれを紹介していきます。
メリット
決算書類等を電子保存するメリットは主に次の4つです。
メリット
- ①省スペース化
- ②検索性向上
- ③災害リスク軽減
- ④業務効率化
①省スペース化
1つ目のメリットは省スペースで保管できることです。
決算書類等は10年間保管しなければならないものもあります。
また、1年間で発生する書類の量が多い場合、10年分を置いておくためのスペースを確保することは容易ではありません。そこで、紙ではなく電子データで保管すれば、保管スペースを大幅に減らすことができ、保管するための倉庫を借りるなどのコストも削減することができます。
②検索性向上
メリットの2つ目は検索性が向上することです。
電子データで保存する際には、データ名に取引年月日・取引金額・取引先名を入れる必要があります。
このような項目を条件にして検索可能にすることが義務づけられているからです。
電子データで保存することにより、帳簿や書類を簡単に検索することができるので、紙で保存するよりも探す手間が軽減されます。
③災害リスク軽減
決算書類等を電子保存するメリットとして、災害リスクの軽減も挙げられます。
紙で保管していると保管場所である会社や倉庫が被災した場合、会社にとって重要な書類が消失してしまう恐れがあります。
一方、電子データはクラウド上に保管することが可能です。
セキュリティが施されたクラウド上に電子データを保管すれば、会社が被災しても電子データの消失リスクは軽減できます。
④業務効率化
決算書類等の電子データ保管を導入すると、業務の効率化につながります。
書類を紙で保管すると、書類整理やファイリングなどを手作業で行わなければなりません。
一方、電子データで保管すると、このような負担を軽減することができます。
また、経費精算システムや会計システムと連動可能な電子保存システムを活用すれば、経理業務全体の効率化が期待できます。
デメリット
決算書類等を電子データで保管することにはデメリットもあります。
主に次の3つのデメリットを紹介しましょう。
デメリット
- ①システム導入費用
- ②セキュリティ対策
- ③具体的な電子保存方法の確立
①システム導入費用
1つ目のデメリットは、システム導入に費用がかかることです。
決算書類等を電子データで保存する際には、タイムスタンプの付与や検索性の確保など保存方法のルールに従う必要があります。
そのため、要件を満たすシステムを準備しなければなりません。
また、電子データを保存し閲覧するためのパソコンやディスプレイ、保存メディアなどを購入する費用も必要になり、初期費用に加え、ランニングコストが必要になります。
②セキュリティ対策
決算書類等を電子データで保存すると、セキュリティ対策が必要になることがデメリットとして挙げられます。
決算書類等には、会社の機密情報が記載されています。電子データで保管していると、ハッキングなどによる情報漏洩のリスクが高まります。
そのため、セキュリティ対策を万全に行う必要があり、その分、手間や費用が発生してしまいます。
③具体的な電子保存方法の確立
デメリットの3つ目は、具体的な電子保存方法の確立に手間がかかることです。
電子データの保存方法は、例えば、クラウドサービス、自社サーバー、電子帳簿保存法対応ソフトなど多種多様です。
その中から自社に合ったシステムを選択しなければなりません。
また、電子データで保存するためのルールを策定して、それを管理する人材も必要です。
社員に対して研修を行って自社の人材を教育したり、専門知識のある人材を採用したりするなど、電子保存のための人材を新たに確保しなければならないこともデメリットといえます。