ツールをカテゴリから探すよりも、いま社内で起きているムダから逆引きした方が、自社に合ったものを見つけやすくなります。カテゴリの比較を続けた結果どれが良いか分からず、検討が止まってしまうことこそ避けなくてはなりません。
弊社が行った経理の実務担当者221人を対象にした調査(2025年3月14日実施)によると、ムダだと感じる作業は、データの複数システムへの二重登録が38.0%で最多、類似書類の複数回作成が27.3%、紙媒体と電子媒体への二重保管が25.0%と続きます※。
一方で、業務フローを可視化していると回答した企業は45.6%にとどまりました。つまり効率化の出発点は、比較サイトを眺めることではなく、どの作業が重複しているかを確認することです。
※出典:ムダだと感じる経理業務の1位は「データの複数システムへの二重登録」
◆ムダだと感じる作業は?

【目的から逆引きするツール選定表】
| いま起きているムダ |
該当するカテゴリ |
期待できる効果 |
確認しておく前提条件 |
| 同じ情報を複数のシステムに入力している |
データ連携・自動化系 |
転記時間とミスの削減 |
どのシステムのデータを正とするか |
| 紙と電子の両方で保管している、似た書類を何度も作っている |
経理・請求・支出管理系、申請・承認系 |
保管と作成の重複解消 |
電子帳簿保存法などの要件を満たせるか |
| 特定の人しかできない業務がある |
コミュニケーション・情報共有系、タスク・プロジェクト管理系 |
標準化、引き継ぎの容易化 |
ツール導入前に業務手順を可視化できるか |
| 探す時間が長い、申請がどこで止まっているか分からない |
コミュニケーション・情報共有系、申請・承認系 |
検索時間の短縮、承認状況の可視化 |
情報の置き場所や承認ルートを整理できているか |
同じ情報を複数のシステムに入力している
最も多くの現場で挙がるムダである「データの複数システムへの二重入力」。営業のシステムに入力した売上データを、経理のシステムに改めて手入力するといった状況が典型例で、システム間の分断が原因になっています。
該当するツールのカテゴリはデータ連携・自動化系です。ただし、いきなり連携方法を考えるのではなく、複数あるシステムのうちどのデータを正とするのかを先に決める必要があります。正となるデータが定まっていなければ、自動でつないでもどちらが正しい情報か分からなくなるためです。そのうえで、CSVによる受け渡しで足りるのか、APIによる連携が必要なのか、片方向か双方向かを検討します。
紙と電子の両方で保管している、似た書類を何度も作っている
単純に電子化するだけでは不十分です。まず、なぜ二重に作成・保管しているのかを確認します。制度上必要なのか、社内ルールによるものなのか、単に以前の業務がそのまま残っているだけなのか、その理由によって取るべき対応は変わります。特に電子帳簿保存法など制度上の保存要件が絡む場合は、要件を満たす仕組みに業務を寄せることで、紙と電子の重複を解消できる可能性があります。
特定の人しかできない業務がある
あの人が休むと処理できないという業務には、ツール導入だけでなく手順の可視化も必要です。弊社が行った経理部門の管理職221人を対象にした調査(2025年7月7日実施)では、特定の人しかできないという属人化した業務が存在する企業は87.8%に上り、属人化に危機感を感じている回答者は98.5%に達しています※。
ツールを入れて作業を減らすだけでは問題は解決しません。業務手順や判断基準を整理し、誰が担当しても一定の品質で処理できる状態をつくることが重要です。
経理の属人化を解消する具体的なステップについては、経理の属人化の悩みを解消する具体的なステップも合わせてご覧ください。
※出典:経理業務で「あの人しかできない」という属人化した業務が存在する企業は87.8%
◆属人化業務が存在しますか?

◆属人化の業務に課題は危機感をどの程度感じますか?

探す時間が長い、いまどこで止まっているか分からない
情報を探す時間が長いなら情報共有系、申請や承認がどこで止まっているか分からないなら申請・承認系が候補になります。この二つは導入効果を比較的体感しやすいカテゴリです。ただし、ここでもツールを入れることより先に、何が原因で時間がかかっているのかを確認します。ファイルの置き場所が問題なのか、検索方法が問題なのか、そもそも不要な資料を作っていないかによって、必要な対策は変わります。