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業務効率化ツールの種類一覧|目的別の選び方と導入で失敗しない3つのポイント

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本記事は2026/09/28に更新しております。
業務効率化ツールの種類一覧|目的別の選び方と導入で失敗しない3つのポイント

毎月の集計作業に半日かかる。紙で受け取った書類を処理し、同じ内容を別システムにも入力している。担当者が休むと業務が止まってしまう。こうした非効率な状況は特定の企業に限った話ではありません。経理や総務、営業管理、経営企画などのバックオフィスでは日々の定型作業が積み重なり、忙しいのになぜか仕事が前に進まない状態になりがちです。

 

そこで検討するのが業務効率化ツールですが、何を使えばいいか分からず、比較サイトを眺めても結論が出ないまま検討が止まっているケースも少なくありません。

 

本記事では、業務効率化ツールの種類を目的別に整理したうえで、どのツールが有効かだけではなく自社の課題から逆引きする選び方を解説します。導入しても使われない、ツールが増えて管理が複雑になるといった失敗を避ける3つのポイントも紹介します。読み終えたときには、自社のムダを1つ特定し、それに合うツールを選んで社内で検討を進められる状態を目指します。

01

まずは結論!業務効率化ツールは「探す前に、自社のムダを1つ特定する」ことで成否が決まる

業務効率化ツールを選ぶとき、多くの担当者がつまずく最大の理由は、選択肢の多さではなく、自社で解決すべき課題が特定されていないことです。課題が曖昧なままでは、機能表をどれだけ見比べても比較の軸そのものが定まらず、仮に導入しても当初想定していたものと違うといった結果になりがちです。

 

実際、弊社が行った経理の実務担当者221人を対象にした調査(2025年3月14日実施)によると、業務プロセス改善における課題の1位は問題点や課題自体が整理できていないことで、41.7%を占めています※。ツールの不足よりも、何を改善するのかという前段階の整理ができていないことが、多くの企業がつまずく要因になっているのです。

 

次の章からは、業務効率化ツールにどのような種類があるかを把握したうえで、自社のムダから逆引きしてカテゴリを絞り込み、最後に3つのポイントをおさえて失敗を避ける、という順番で解説を進めます。

 

ツール導入において特に避けたい2つの失敗があります。
1つは、導入したものの現場が使いこなせず、以前のやり方に戻ってしまうこと。もう1つは、個別の業務は効率化できても、ツールが増えた結果としてデータ連携やアカウント管理の手間がかえって増えてしまうことです。

 

業務効率化ツールを増やすこと自体は目的ではありません。ムダな作業を減らした結果として、本当に必要なツールだけが社内に残っている状態を目指します。

 

※出典:ムダだと感じる経理業務の1位はデータの複数システムへの二重登録

 

02

業務効率化ツールとは何か、どこまでを指すのか

業務効率化ツールという言葉が指す範囲は広く、日々のやり取りを速くするものから、作業そのものをなくすものまで、性質の異なるツールが1つの言葉でまとめて語られています。この違いを理解しないまま比較を進めると、自社に合わないものを選んでしまったり、検討そのものが噛み合わなくなったりします。

 

そこで役立つのが、効果と範囲の2軸で整理する方法です。効果の軸は、既存の作業を速くするのか、作業そのものをなくすのかという違いです。例えば、タスク管理ツールで担当者や期限を明確にするのは、既存の仕事を速く進める取り組みにあたります。一方、会計システムと別の業務システムをAPIで連携し、これまで人が行っていた転記をなくすのは、作業そのものを減らす取り組みです。

 

もう1つの範囲の軸は、個人や一部署で完結するのか、複数の部署やシステムをまたぐのかという違いです。この2つの軸を組み合わせると、単なる便利なツール一覧ではなく、自社のどの業務のどこを変えるためのツールなのかが見えやすくなります。

 

【業務効率化ツールの2軸マップ】

業務効率化ツールの2軸マップ

 

社内のチャットや情報共有の仕組みは作業を速くする側、RPAやシステム間のデータ連携は部門をまたいで作業をなくす側に位置づけられます。この視点を持っておくと、自動化したいからRPAといった短絡的な選択を防ぎやすくなります。

03

業務効率化ツールの種類一覧

業務効率化ツールには数多くの種類がありますが、ここでは製品名を並べるのではなく、どのようなムダを解消するためのカテゴリなのかという観点で整理します。

 

【カテゴリ別業務効率化ツール一覧】

カテゴリ 課題 向いてる業務 導入ハードル 他システム連携要否
コミュニケーション・情報共有 探す時間、確認の往復 社内連絡、資料共有 低 単独でも機能する
タスク・プロジェクト管理 進捗や担当の見えにくさ 案件やプロジェクトの進行管理 低~中 任意
申請・承認(ワークフロー) 紙運用、押印、承認待ちの停滞 稟議、経費、各種申請 中 人事情報等との連携で精度が上がる
経理・請求・支出管理 入力、確認、保管の手間、制度対応 請求書処理、経費精算、支払管理 高 会計システムとの連携が前提
データ連携・自動化 二重入力、転記などの定型作業 複数システムをまたぐ処理 高 必須
AI・OCR 読み取りや入力の手間 請求書の読み取り、文書作成の補助 中~高 既存フローとの連携で効果が変わる

 

コミュニケーション・情報共有系

ビジネスチャットや社内ポータル、ファイル共有サービスなどが該当します。目的は、必要な情報を探す時間と、確認や連絡の往復を減らすことです。比較的導入しやすいカテゴリですが、共有スペースを作るだけで解決するとは限りません。どこに何を置くのか、古い情報をどう扱うのかまで決めておかないと、どれが最新版か分からないという別の問題が生じます。

タスク・プロジェクト管理系

タスク管理や進捗管理、工数管理などを行うツールです。誰が何をいつまでにどこまで進めているかを見えるようにし、担当者への確認そのものを減らせる効果が見込めます。一方で、入力項目が多すぎると更新が止まってしまうため、実際に業務を進める人が無理なく更新できる設計にすることが重要です。管理項目を増やすほど精度が上がるわけではないということを意識しておきましょう。

申請・承認(ワークフロー)系

稟議書や経費申請、各種届出などを電子化するツールです。紙を印刷して手書きし、押印して回覧する業務では、紙を持って移動する手間や、承認者が不在で止まる、いま誰のところにあるか分からないといったムダが発生します。ワークフロー系ツールはこの流れそのものを電子化し、単に紙をなくすだけでなく、承認状況を確認できることにも価値があります。

経理・請求・支出管理系

請求書の発行と受領、経費精算、支払管理、帳票の保管など、経理業務を効率化するカテゴリです。単純な時間短縮だけでなく、電子帳簿保存法といった法制度上の要件への対応も考える必要があるため、機能の多さだけでなく自社の保存・処理方法を実現できるかという視点で選ぶことが重要です。

 

紙で受け取った請求書を電子化する場合も、読み取って終わりではなく、その後の確認、承認、会計処理、保存までの流れがつながっているかを確認します。
経理業務全体の見直しについては、経理業務改善の決定版|DXで攻めの経理へ変革する方法もあわせてご覧ください。

データ連携・自動化系

RPA、API連携、ノーコード・ローコードのデータベースなどが該当します。このカテゴリの特徴は、人の作業を速くするのではなく、システムとシステムの間にある転記や定型処理そのものを減らせることです。

 

例えば販売管理システムから出力したデータをExcelに貼り付け、さらに会計システムへ入力するという作業は、Excelへの入力を速くするだけでは根本的なムダが残ります。どのデータをどこへ渡すのかを整理し、API連携などで自動化できれば、人が行う転記そのものをなくせる可能性があります。

 

詳しくは、初心者でも5分でわかるRPA解説、ノーコード/ローコードとは、会計ソフトのAPI連携で手入力ゼロは実現できるかも合わせてご覧ください。

AI・OCR系

紙や画像に記載された情報の読み取り、文書の要約、入力補助、データのチェックなどに活用できます。経理業務でもAIの利用は進んでおり、弊社が行って経理の実務担当者221人を対象にした調査(2025年3月14日実施)では、57.4%が経理業務でAIを導入していると回答しています。

 

AIの用途はミスや不具合の検知が59.7%と最も多く、AI-OCRの利用も20%を超えています※。ただし読み取れば人の確認が一切不要になるわけではなく、精度やデータの種類によっては確認工程が必要です。読み取れる範囲だけでなく、読み取り後に人が対応する領域までを含めて業務フローを考える必要があります。

 

※出典:経理業務でAIを導入している企業は57.4%

 

◆導入済のAIの用途は?

導入済のAIの用途は?

04

目的から逆引きする業務効率化ツールの選び方

ツールをカテゴリから探すよりも、いま社内で起きているムダから逆引きした方が、自社に合ったものを見つけやすくなります。カテゴリの比較を続けた結果どれが良いか分からず、検討が止まってしまうことこそ避けなくてはなりません。

 

弊社が行った経理の実務担当者221人を対象にした調査(2025年3月14日実施)によると、ムダだと感じる作業は、データの複数システムへの二重登録が38.0%で最多、類似書類の複数回作成が27.3%、紙媒体と電子媒体への二重保管が25.0%と続きます※。

 

一方で、業務フローを可視化していると回答した企業は45.6%にとどまりました。つまり効率化の出発点は、比較サイトを眺めることではなく、どの作業が重複しているかを確認することです。

 

※出典:ムダだと感じる経理業務の1位は「データの複数システムへの二重登録」

 

◆ムダだと感じる作業は?

ムダだと考える業務は?

 

【目的から逆引きするツール選定表】

いま起きているムダ 該当するカテゴリ 期待できる効果 確認しておく前提条件
同じ情報を複数のシステムに入力している データ連携・自動化系 転記時間とミスの削減 どのシステムのデータを正とするか
紙と電子の両方で保管している、似た書類を何度も作っている 経理・請求・支出管理系、申請・承認系 保管と作成の重複解消 電子帳簿保存法などの要件を満たせるか
特定の人しかできない業務がある コミュニケーション・情報共有系、タスク・プロジェクト管理系 標準化、引き継ぎの容易化 ツール導入前に業務手順を可視化できるか
探す時間が長い、申請がどこで止まっているか分からない コミュニケーション・情報共有系、申請・承認系 検索時間の短縮、承認状況の可視化 情報の置き場所や承認ルートを整理できているか

 

同じ情報を複数のシステムに入力している

最も多くの現場で挙がるムダである「データの複数システムへの二重入力」。営業のシステムに入力した売上データを、経理のシステムに改めて手入力するといった状況が典型例で、システム間の分断が原因になっています。

 

該当するツールのカテゴリはデータ連携・自動化系です。ただし、いきなり連携方法を考えるのではなく、複数あるシステムのうちどのデータを正とするのかを先に決める必要があります。正となるデータが定まっていなければ、自動でつないでもどちらが正しい情報か分からなくなるためです。そのうえで、CSVによる受け渡しで足りるのか、APIによる連携が必要なのか、片方向か双方向かを検討します。

紙と電子の両方で保管している、似た書類を何度も作っている

単純に電子化するだけでは不十分です。まず、なぜ二重に作成・保管しているのかを確認します。制度上必要なのか、社内ルールによるものなのか、単に以前の業務がそのまま残っているだけなのか、その理由によって取るべき対応は変わります。特に電子帳簿保存法など制度上の保存要件が絡む場合は、要件を満たす仕組みに業務を寄せることで、紙と電子の重複を解消できる可能性があります。

特定の人しかできない業務がある

あの人が休むと処理できないという業務には、ツール導入だけでなく手順の可視化も必要です。弊社が行った経理部門の管理職221人を対象にした調査(2025年7月7日実施)では、特定の人しかできないという属人化した業務が存在する企業は87.8%に上り、属人化に危機感を感じている回答者は98.5%に達しています※。

 

ツールを入れて作業を減らすだけでは問題は解決しません。業務手順や判断基準を整理し、誰が担当しても一定の品質で処理できる状態をつくることが重要です。

 

経理の属人化を解消する具体的なステップについては、経理の属人化の悩みを解消する具体的なステップも合わせてご覧ください。

 

※出典:経理業務で「あの人しかできない」という属人化した業務が存在する企業は87.8%

 

◆属人化業務が存在しますか?

属人化業務が存在しますか?

◆属人化の業務に課題は危機感をどの程度感じますか?

属人化の業務に課題は危機感をどの程度感じますか?

探す時間が長い、いまどこで止まっているか分からない

情報を探す時間が長いなら情報共有系、申請や承認がどこで止まっているか分からないなら申請・承認系が候補になります。この二つは導入効果を比較的体感しやすいカテゴリです。ただし、ここでもツールを入れることより先に、何が原因で時間がかかっているのかを確認します。ファイルの置き場所が問題なのか、検索方法が問題なのか、そもそも不要な資料を作っていないかによって、必要な対策は変わります。

05

導入で失敗しない3つのポイント

業務効率化ツールは、導入しただけで効率化が完了するわけではありません。弊社が行った経理の実務担当者221人を対象にした調査(2025年3月14日実施)では、現在使っているシステムに満足していると回答した割合は24.8%にとどまり、デジタル化に関する不満や課題としては機能不足が45.0%、使いにくさが38.2%となっています※。つまり、すでに導入済みの企業でも満足度は決して高くなく、導入したから終わりとはいかないのが実情です。

 

※出典:経理業務でAIを導入している企業は57.4%

 

◆システムの満足度は?

システムの満足度は?

 

◆経理のデジタル化に関する不満や課題は?

経理のデジタル化に関する不満や課題は?

 

導入後に使われ続け、実際にムダの削減を実現するには、次の3点を事前に確認しておきましょう。

 

【業務効率化ツール導入前チェックシート】

確認ポイント 確認事項 自社解答欄
課題を1つに絞る ・解決したい課題は1つに絞られているか  
  ・その作業に月あたり何時間かかっているか  
既存システムとの連携 ・基幹・会計システムと連携できるか  
  ・連携方法はCSVかAPIか、双方向か片方向か  
運用の責任者 ・設定変更やアカウント管理は誰が担うか  
  ・試用期間中に運用担当者がきまっているか  

 

課題を1つに絞ってから探す

経理部門全体を効率化したいと考えると、要件が一気に膨らみます。請求書、経費精算、支払、会計、予算管理を一度に改善しようとすれば、それぞれ異なる関係者やシステムが加わり、比較する製品が増え、社内調整も複雑になります。まずは、効果を測りやすい業務を1つ選びます。

 

月末の集計に毎月8時間かかっている、請求書の転記に毎月5時間かかっているというように、導入前の状態を所要時間等で定量的に把握しておき、導入後の効果を測定します。最初から完璧な業務改革を目指すのではなく、小さな範囲で効果を確認し、次の改善につなげる方が現場にも受け入れられやすくなります。

既存のシステムとつながるかを先に確認する

ツール単体の機能が優れていても、既存システムとつながらなければ、別の場所に転記作業が残ってしまうことがあります。新しい申請システムを導入して処理そのものは電子化できても、承認後のデータを会計システムへ手入力しているなら、業務全体としては効率化しきれていません。

 

製品比較では機能一覧だけでなく、既存システムとの接続方法を確認します。CSVで連携できるのか、APIが利用できるのか、データは一方向か双方向か、連携の頻度はどの程度か、それらの設定を誰が担当するのかを事前に確認しておきましょう。

 

API連携についてより詳しく知りたい場合は、経理がAPI連携するメリットもあわせてご覧ください。

誰が運用し続けるかを決めてから契約する

導入時の担当者だけを決めて、運用担当者を決めないのは危険です。システムは導入後も、利用者の追加や削除、設定変更、問い合わせ対応、マニュアルの更新が発生します。これらを誰が担うのかを決めないまま導入すると、担当者の異動や退職をきっかけに利用が停滞する可能性があります。

 

無料プランや試用期間も、単に使い勝手を試す期間と考えるのではなく、本番運用に必要な作業を確認する期間として使います。実際に使う担当者が無理なく操作できるか、既存業務との二重作業が発生しないか、設定変更を誰が行うのか、問い合わせ先は明確か。ここまで確認して初めて、導入後も使い続けられるかどうかを判断できます。

06

導入前検証9社に見る、ツールを選ぶ手前で起きていること

導入前検証(PoC)とは、本格的な導入を決める前に、実際の業務や環境でツールが課題を解決できるかを確認する取り組みです。当社では2026年から、製造、卸売、小売、建設、商社、ソフトウェア開発、教育など、さまざまな業種の企業を対象に、業務システムの導入前検証を進めています。対象企業の従業員規模は15名から2,300名まで幅があります。

 

本章では製品そのものの機能の良し悪しの比較ではなく、ツールを選ぶ前段階で、企業が何につまずいているのかという実態を明らかにします。上述の、課題を1つに絞る、既存システムとつながるかを確認する、誰が運用するかを決める、という3つのポイントに対応する形で、特徴的な3社の記録を紹介します。

 

【導入前検証対象企業一覧】

業種 従業員規模 対象業務 情報システム体制 既存システム 検証ステータス 観測時期
卸売業・小売業(釣具専門店) 500~600名規模 本部・店舗業務全般 — 本部基幹システムに加え、POS、BIツール、給与勤怠、シフト管理、人事サービスを併用 検証中 2026年7月
製造業(乳製品) 50~100名規模 トラブル報告書の起票と回覧 担当1名 紙での手書きと押印によるワークフロー 検証完了 2026年7月
商社 300~500名規模 商品物流本部の業務 — AS/400、グループウェア付属のワークフローは機能不足のため見送り 要件ヒアリング完了 2026年7月

 

ツールは増えたのに、業務のつなぎ目が残っていた小売業の例

ある卸売・小売業では、本部の基幹システムに加えて、店舗業務のPOSシステム、BIツール、給与勤怠サービス、シフト管理サービス、人事サービスといった複数のサービスを利用していました。個別の業務を見れば、それぞれに適したサービスを導入している状態です。

 

しかし、最適なツールを使うことと、業務全体がつながることはイコールではありません。ツールとツールの間には、データの受け渡しや確認作業がそのまま残ってしまう場合があります。カテゴリごとに最適なツールを選ぶだけでは不十分であり、個々のツールの性能だけでなく、その前後にどのような作業が残るのかまで見る必要があることを示す例です。

解決したい課題が1つに定まっていた製造業の例

ある製造業(乳製品)では、トラブル報告書の起票と回覧が対象でした。紙に手書きして押印する運用のため、1枚の紙を2度回覧する手間や、印刷してから手書きする作業が発生していました。

 

この企業では、トラブル報告書の起票と回覧という解決すべき課題と対象業務が明確になっており、複数のサービスを比較検討するところから始めたわけではありません。課題が具体的であれば、必要な機能も絞りやすくなります。業務効率化ツールを導入したいという段階ではなく、紙の回覧をなくしたいと言えるところまで課題を具体化することが、検討を迅速に進めるうえで重要だと示す例です。

既存システムとつながるかどうかが検討の分かれ目になった商社の例

ある商社では、商品物流本部の業務を対象に検討を進めていました。既存の基幹システムとしてAS/400を利用しており、グループウェアに付属するワークフローも検討しましたが、必要な機能が不足していたため見送りとなりました。

 

この企業では、既存の基幹システムへデータを連携できなければ、結局手入力の作業が残ってしまうという点が重要な判断材料になっています。これは機能が多いツールほど良いという考え方とは異なります。必要なのは自社の業務を変えるための機能であり、特に複数システムをまたぐ業務では、単体の機能よりも既存環境の中で使えるかどうかが選定の分かれ目になることを示す例です。

07

よくある質問

Q1.業務効率化ツールにはどんな種類がありますか

A.大きく分けると、コミュニケーション・情報共有、タスク・プロジェクト管理、申請・承認、経理・請求・支出管理、データ連携・自動化、AI・OCRといったカテゴリがあります。これらは作業を速くするものと、作業自体をなくすものに分けて捉えると理解しやすくなります。重要なのは自社のムダを解決するカテゴリを選ぶことです。詳しくは、本記事の「業務効率化ツールの種類一覧」の章をご覧ください。

Q2.無料のツールだけで業務効率化はできますか?

A.社内のチャットやタスク管理など、個人やチーム内で完結する範囲であれば、無料のツールだけでも十分に効率化できる場合があります。一方で、利用人数が増えたり、他システムとデータ連携させたりする段階になると、無料プランでは機能に制限があり対応できないことが少なくありません。無料か有料かという基準で選ぶのではなく、本記事の「既存システムとつながるかを先に確認する」の章で解説した観点も踏まえ、本番運用に必要な機能まで含めて判断することが重要です。

Q3.まず何から導入すればよいですか?

A.自社で最も時間や手間を取られている業務を1つ選びましょう。その業務にかかっている時間を測り、どの作業がムダなのかを整理したうえで、該当するツールカテゴリを選びます。カテゴリから探すのではなく、目の前のムダから逆に引く進め方については、本記事の「目的から逆引きする業務効率化ツールの選び方」の章で詳しく解説しています。

Q4.ツールが増えすぎて管理できなくなりませんか?

A.管理できなくなる可能性があります。個別の業務だけを見てツールを追加すると、システム間のデータ連携やアカウント管理など、新しい負担が発生することがあります。そのため導入前に既存システムとの関係を確認し、ツールを増やすことで別のムダが生まれないかを確認しておく必要があります。詳しくは、本記事の「導入で失敗しない3つのポイント」の章をご覧ください。

Q5.導入したのに現場が使わず、元のやり方に戻ってしまいました。原因はどこにありますか?

A.考えられる原因は、ツールが現場の業務に合っていないこと、入力や操作の負担が大きいこと、導入後の運用担当者が決まっていないことなどです。導入した結果、現場の業務が実際にどのように変わったかを確認することが重要です。
経理業務の自動化について、どこまで自動化でき、どこに限界があるのかを知りたい場合は、経理自動化の限界と可能性もあわせてご覧ください。

Q6.導入前検証(PoC)はどのくらいの規模・期間で実施していますか?

A.業種や対象業務によって幅がありますが、当社では2026年以降、製造、卸売、小売、建設、商社、ソフトウェア開発、教育など複数の業種で導入前検証を実施しています。検証にかかる期間や範囲は、対象業務の複雑さや既存システムとの連携要否によって変わるため、まずは自社の課題を1つに絞ったうえで、検証の進め方について相談することをおすすめします。

08

まとめ

業務効率化ツール選びの成否は、製品を比較する前に自社のムダを1つ特定できるかどうかで決まります。ツールの種類は、作業を速くするものと作業自体をなくすものという視点で整理すると、自社に必要なツールを判断しやすくなります。

 

カテゴリから探すのではなく、二重入力や紙と電子の二重保管、属人化、情報を探す時間など、いま起きているムダから逆引きすることで選択肢を絞り込むことが可能です。導入時には、課題を1つに絞る、既存システムとつながるかを先に確認する、運用担当者を決めてから契約するという3点をおさえておきましょう。最初から全ての業務を変える必要はありません。まずは自社のムダを1つ見つけ、それに合ったツールの種類を選ぶことから始めてみてください。

09

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この記事を書いた人

赤峯豪
BtoB専門ライター。通信事業会社・大手IT企業で16年間、BPR(業務プロセス改革)や予算管理業務に携わる。在職中に独学で簿記2級を取得。DX・RPAを含むオペレーション改善を幅広く企画・実行。その後、売上高1,300億円規模の経営企画・予算管理業務に従事。ライター転身後は、BtoB向け記事、ホワイトペーパー、LPの執筆・制作を中心に手がけている。
監修
田中雅人(ITコンサルタント)

ソフトウェアメーカー取締役、IT上場企業の取締役を経て、現在、合同会社アンプラグド代表。これまでに、Webサイト制作、大規模システム開発、ECサイト構築、SEM、CRM等のWebマーケティングなど、IT戦略全般のコンサルティングを30年以上実施。現在は、大手上場企業から中小企業まで、IT全般のコンサルティングを行っているかたわらWebマーケティングに関するeラーニングの講師、コラム執筆なども実施。

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